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この世界の成り立ちを、その先の運命を、神でさえも知らないのではないか。そう考える時がある。
夜から朝へと変わるような、白み始めた黒い空。しかし、それは本物の空ではなく、その世界は全てが偽物だった。
まるで水面のように青く透けて底が見えない大地も、黒い空に星のように輝く光も、見渡せば地平線の見えるその何もない世界は、全てが偽物だった。
そんな全てが偽物の世界で、二つの光が互いに向かい合って駆け、何度も衝突する。二つの光は一方が白く、もう一方は黒かった。
その二つの光がぶつかる度に響く金属音と飛び散る火花。白と黒の光は刃を交えつつ、ふとあることを考えていた。
──何故、俺はこいつと戦わなくちゃならないんだろう──
──何故、私はこの人と戦わなくてはいけないんだろう──
その戦わなくてはならない理由も、その原因である自分達の宿命についても理解している。だがしかし、そう思わざるをえないのだ。だからこそ、神というものも全知全能ではないような気がしてくるのだ。
しかし、それを確かめる術など持たない。だから戦い続ける。この戦いの先に、答えがあることを信じて──。
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