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「くっそ、めんどくせぇな、マジで」
建っている背の高い建物のせいで、空も見えなくなっているビル街の中、眉間に皺を寄せていかにも不機嫌そうな青年が一人歩いていた。
肩にかかるくらいまでの長さの金髪だが、瞳や眉の色が黒く、顔立ちが東洋系なため、染めているだけだということが分かる。黒の瞳は切れ長で鋭く、力強い輝きを秘めていた。
歳は大学生くらいで、同年代の平均身長より僅かに高いだろう。足が長く細身で、全体的にスラッとした印象を受ける。
服装は白い無地のワイシャツにノースリーブの黒いベストを羽織り、黒のスラックスを履いて、僅かに緩めた黒いネクタイをしていた。その青年にはよく似合った格好で、ホストのようにも見える。
青年は内に抱えた苛立ちを吐き出すかのように、空を見上げてため息を一つつく。そのせいか、前から来る女性に気付くのが遅れてぶつかってしまった。
「きゃっ……!?」
スーツを着たOL風の女性は、その衝撃でよろけてしまい、ゆっくりと後ろに倒れそうになる。そんな女性の背中に手を回し、青年は女性を支えた。
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