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「忠告して終わり、だな」
「その忠告は言葉じゃなくて、暴力でじゃないのか?」
ライトの言葉に、ゼルはすかさず言葉を返す。そのゼルの言葉に、ライトはこれ以上続けても無意味だとため息をつき、二つ折り式の携帯を開いて何やら操作する。
「次のターゲットの情報か?」
「そんなところだ。それより、いい加減姿現せよ、ゼル」
姿の見えないゼルに、ライトは携帯から目を離さないまま、姿を現すように言う。すると、ライトの頭上から影が差し、どんどんその影が大きくなっていった。
広い布が風で強くはためいているかのような音がし、頭上から白い羽根が舞い落ちる。そして、その声の主がライトの背後にある無造作に積まれた木箱の上に下り立った。
しかし、その木箱に下り立ったのは人間ではなく、全身が白一色で染まった大鷲だった。大鷲なんて、このような都会ではまず見られないのだが、全身が純白のものとなれば珍しい。
「あまり下りてきたくはないんだがな。珍しがられるし、子供に見つかれば悲惨だ」
鳥の表情なんて分からないものなのだが、その時のゼルは目を細め、明らかに嫌そうなものだと分かる表情を浮かべていた。
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