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「そん時の逃げてるお前が見物だから、是非常に上空じゃなく、俺の近くを飛んでいてほしいもんだ」
そんなゼルに、その時のことを思い出したのか、可笑しそうに笑いながらライトは言った。
「お前……他人事だと思って……」
「完璧他人事だからな。さて、ターゲットの家に近付いてきてるな」
ゼルが携帯見ながら歩いているライトについていくため、ゆっくりと飛びつつジト目で睨み付けるのだが、ライトはそれを気にした様子もなく、ただ携帯の画面に表示されたマップに従って歩き続けていた。
「まったく……それで、今回のターゲットは?」
「兎月 真香(トツキ マナカ)、高校二年の十七歳。成績がトップクラス以外、どこにでもいるような大人しい女子高生だ」
ゼルが諦めたように呟き、今回のターゲットの情報を確認するために訊ねれば、ライトは携帯のキーを押し、もう一度ターゲットの情報を表示して読み上げる。
画面には真香本人の顔写真と、彼女のプロフィールが記載されていた。写真の少女は黒髪のボブカットで、野暮ったい大きな丸レンズの黒縁眼鏡をかけていた。いかにも真面目そうな少女である。
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