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「ふむ……亡者に怨みなど抱かれそうにないが……」
「抱かれるからこそ、ターゲットになってんだろ? まあ、どんな怨みを抱かれてるのかは知らんが、いつも通りにやることやりゃいいだけだ」
ゼルの言葉に返答したライトの足が止まる。どうやら、目的地へとついたようだ。携帯画面に表示されたマップの赤い点と、現在地を示す矢印が重なり、赤い点が青へと変わった。
「ここか……まあ、情報通りだな」
ライトは目的地を見上げて、携帯画面に真香に関する情報を表示して、それに書かれている情報と目の前の建物を見比べ、納得したように頷いた。
ライトの前にあるのは古いアパートだ。二階建てで、一つの階に五部屋ある。長い間雨風を受けたらしく、鉄柱が錆びていたり、塗装が剥げていたりと、ボロアパートという表現が適している。
「……これまた予想外だな。こんなところに住んでいるとは」
「人の見た目で住居まで判断すんなよ。それに、別にどんなやつがどこに住んでいようが、俺達には関係ないだろ?」
「それはそうだな。それで、ターゲットの部屋は?」
意外そうなゼルだったが、ライトがその言葉通りどうでもよさげに言えば、すぐに納得して話を戻した。
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