花

始まり

最近どうも身体の調子がおかしい。特別、悪い所があるわけではないが、常にどこかに違和感がある。しかし、日常生活に支障をきたすほどではなかったため、私はさして気にしていなかった。
違和感を感じはじめてからしばらくたった頃、頻繁にお腹、ちょうどおへその上あたりが痒くなり始めた。
元々、乾燥肌で特に冬場はよく身体が痒くなるため、そのときは、あぁまたか、くらいにしか思っていなかった。
ある日、風呂場でふと鏡を見ると、芽が出ていた。おへその上からまるで肌に誰かが描いたかのように、青々とした双葉が生えていたのだ。それは何度洗っても落ちない。まるで刺青のようだった。不思議に思ったが、消す方法も思い付かなかったし、普段見えるような場所でもなかったため、そのままにしておくことにした。
最初の何日かは突然現れたそれが気になってお風呂で観察していたが、それ以後、変化がなかったので次第に私はその芽の存在を忘れていった。