Rainy cat

3/7
前へ
/12ページ
次へ
  次にその猫を見たのも夜だった。やはり雨が降っていた。 黒猫はまたもじっと私を見てくる。反射した眼は妖しい光を帯び、少しだけ私を不安にさせた。 いつぞやとおなじように私が手を伸ばすと、するりと逃げる。 そのまま以前のように消えるのかと思えば、何故か振り返って私を見上げる。 私が動かないのを見ると、数歩進んでまた振り返った。 何処かへ誘っているように見えるのは私の思い違いだろうか。 一歩、黒猫の方へ踏み出してみる。猫はそれを確認すると、まっすぐ前へと歩き出した。今度は振り返らない。 歩を進む度に、鈴の音が鳴る。 好奇心に揺さぶられ、私はそのまま後について行くことにした。  
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加