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次にその猫を見たのも夜だった。やはり雨が降っていた。
黒猫はまたもじっと私を見てくる。反射した眼は妖しい光を帯び、少しだけ私を不安にさせた。
いつぞやとおなじように私が手を伸ばすと、するりと逃げる。
そのまま以前のように消えるのかと思えば、何故か振り返って私を見上げる。
私が動かないのを見ると、数歩進んでまた振り返った。
何処かへ誘っているように見えるのは私の思い違いだろうか。
一歩、黒猫の方へ踏み出してみる。猫はそれを確認すると、まっすぐ前へと歩き出した。今度は振り返らない。
歩を進む度に、鈴の音が鳴る。
好奇心に揺さぶられ、私はそのまま後について行くことにした。
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