プロローグ

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 ふと、フォーラは目の端で何か動きを感じ取る。視線を動かすと、微かにウォビックが手を動かしているのに気付いた。  背中に冷や汗が滲む。  目の前にはサリーエルと戦う千載一遇の機会。しかし、その前に手当てを施さねば、ウォビックが死亡する可能性だってある。 「くそ……」  少し考え、フォーラは剣を納めた。 「君! 後は任せたぞ!」 「……」  フォーラはサリーエルを警戒しながらウォビックに近づくと、一気に抱え上げる。  そうしてそのまま内壁から迷いなく飛び降りた。着地の前に魔力を下方放出し、調整することで怪我なく終えることが出来るのだ。 「……負けるなよ、サリーエル」  そう感情を吐き捨て、フォーラはブトラ砦を後にした。 ――
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