95人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと、フォーラは目の端で何か動きを感じ取る。視線を動かすと、微かにウォビックが手を動かしているのに気付いた。
背中に冷や汗が滲む。
目の前にはサリーエルと戦う千載一遇の機会。しかし、その前に手当てを施さねば、ウォビックが死亡する可能性だってある。
「くそ……」
少し考え、フォーラは剣を納めた。
「君! 後は任せたぞ!」
「……」
フォーラはサリーエルを警戒しながらウォビックに近づくと、一気に抱え上げる。
そうしてそのまま内壁から迷いなく飛び降りた。着地の前に魔力を下方放出し、調整することで怪我なく終えることが出来るのだ。
「……負けるなよ、サリーエル」
そう感情を吐き捨て、フォーラはブトラ砦を後にした。
――
最初のコメントを投稿しよう!