プロローグ

7/11
前へ
/436ページ
次へ
「なん……だ、今の」  無意識に支給品の無骨な片手剣を抜くと、辺りを警戒する。面妖と言わざるを得ないその技は、全く予想外の物だった。 「ぐっ!」  横からウォビックの声が上がる。なんとそこには先程遠方にいた白甲冑の姿があり、ウォビックと剣を合わせていたのだ。 「隊長!」  すかさずフォーラも切り掛かる。見透かしていたかのようにサリーエルはそれを避け、且つ返す刀でウォビックに一太刀浴びせてみせた。 「くっ……そぉ!」  フォーラは彼を甘く見ていた、と強く後悔する。白甲冑への振る舞いが、全て悪い方へと向かってしまっているのだ。  剣を振るが当たらない。これは相手の純粋な体術に依るもので、側にいた味方の兵達も次々と斬られていく。 「まだまだっ!」  自身に喝を入れ、走り出す。彼を倒せば、帝国の戦力は格段に落ちるだろう。  わざと振りかぶって注意をこちらに引き付け、一対一の状態に持ち込む。
/436ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加