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「なん……だ、今の」
無意識に支給品の無骨な片手剣を抜くと、辺りを警戒する。面妖と言わざるを得ないその技は、全く予想外の物だった。
「ぐっ!」
横からウォビックの声が上がる。なんとそこには先程遠方にいた白甲冑の姿があり、ウォビックと剣を合わせていたのだ。
「隊長!」
すかさずフォーラも切り掛かる。見透かしていたかのようにサリーエルはそれを避け、且つ返す刀でウォビックに一太刀浴びせてみせた。
「くっ……そぉ!」
フォーラは彼を甘く見ていた、と強く後悔する。白甲冑への振る舞いが、全て悪い方へと向かってしまっているのだ。
剣を振るが当たらない。これは相手の純粋な体術に依るもので、側にいた味方の兵達も次々と斬られていく。
「まだまだっ!」
自身に喝を入れ、走り出す。彼を倒せば、帝国の戦力は格段に落ちるだろう。
わざと振りかぶって注意をこちらに引き付け、一対一の状態に持ち込む。
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