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「あら、お母さんのせいじゃないわよ。だって」
それを遮るように父親が声を上げる。
「にゃ~お」
猫の鳴き声を上げ、白髪混じりの頭を円を描くように回す。
その頭を軽く撫でると、隆治は満足してまた酒を一口煽った。
すみれの恋人としての理想は隆治である。
これでも一流企業に高校を卒業してから所属し、定年するまでに本部長までやり遂げた。
収入にもなにひとつ申し分なく、家族に迷惑をかけたこともない。
頼りがいがあって、それでいて面白く子供っぽい。
これがすみれの大好きな隆治である。
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