3 毎日が日曜日

44/48
前へ
/347ページ
次へ
ただ、今度ばかりは無視しているわけにはいかなそうだ。 すみれは布団から這い出ると、本が堆く積まれた孝の部屋のドアをノックした。 中からは無言の応戦だ。 そっと開けると、睨むような視線をぶつけられるが、やはり孝は何も言わない。 額にかかる髪を掻き上げ、眼鏡を上にずらす。 「……元気?」 久しぶりに話すことで声が枯れる。 それでも孝は何も言わない。 了承の意味ととり、すみれが足を踏み入れると、さっと孝の手が動いた。 完全に拒否されると思いきや、どうやら落ちている資料を拾ったようだ。
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加