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ただ、今度ばかりは無視しているわけにはいかなそうだ。
すみれは布団から這い出ると、本が堆く積まれた孝の部屋のドアをノックした。
中からは無言の応戦だ。
そっと開けると、睨むような視線をぶつけられるが、やはり孝は何も言わない。
額にかかる髪を掻き上げ、眼鏡を上にずらす。
「……元気?」
久しぶりに話すことで声が枯れる。
それでも孝は何も言わない。
了承の意味ととり、すみれが足を踏み入れると、さっと孝の手が動いた。
完全に拒否されると思いきや、どうやら落ちている資料を拾ったようだ。
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