3 毎日が日曜日

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やはり敵わない、と思ってしまう。 「孝、醤油をとってくれ」 隆治の声に、孝がテレビから顔を戻す。 だが、それを阻むように紀子が動いた。 「お母さん、お兄ちゃんにっていってるじゃん」 箸を口に突っ込んだまま、すみれが抗議すると、紀子は口元に人差し指を当てる。 「お兄ちゃん、明日までに論文を出さなくちゃ行けなくて忙しいんだって」 それならご飯を後で食べればいいじゃないか、という不平は胸の中に押しとどめる。 それでも不満だけ視線で送る。
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