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紀子に言われると、そのまま二階に行ってしまった。
キッチンにはテレビからの笑い声が木霊する。
「なんだ、あいつ。もっと分けてやるのに。おい、母さん。ちょっと孝を呼んでこい」
「ちょっと、お父さん。やめてくださいよ。あの子忙しいんですから」
言い合う二人の横で、すみれはゆっくりと視線をテレビに向ける。
「いいんだよー。まだ俺は飲みたいんだから。孝ー!下りてこーい!」
「やめてくださいってば」
紀子が二階に向けて叫ぶ隆治を諫めようと、その手からとっくりを奪う。
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