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「あ、こら。返せ」
今度は隆治も立ち上がって紀子に手を伸ばす。
太った腹がテーブルに辺り、一瞬呻いた。
すみれの前にあった茶碗が倒れそうになり、驚いて両手を伸ばす。
すると箸を離してしまい、テーブルにバウンドした箸が一膳床に落ちる。
「もおー!いい加減にしてよ!」
すみれが叫ぶと、箸の転がる音が重なる。
我に返った二人は大人しく席に着き、すみれは箸を拾うと流しに洗いに行く。
「あのさぁ、子供じゃないんだから情けない言い合いしないでちょうだい。いいね?」
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