優しい風の使い方。

2/20
前へ
/20ページ
次へ
「 【序章】  ここは、魔界王“ヘル”の根城、《ヨリュムガンド》の渡り廊下。  天界のとある天使が、魔族の兵から逃げていた。 「こっちに居たぞ!! 追え! 追えーっ!」 「くっ、もう追っ手が……」 「貴様ぁ……、牢から抜け出しやがって!!」 「もう、これしか手が――、無い」  お願い、届いて。  私の、風(フィル)を、どうか、誰か。  小さな光が、彼女の体から飛び出し、白い球体を造り上げた。 「貴様、何をしている!? まさか……、人間界に!!」 「――我が御霊(みたま)の能力(ちから)を、――他が者に与えん」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加