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「
【序章】
ここは、魔界王“ヘル”の根城、《ヨリュムガンド》の渡り廊下。
天界のとある天使が、魔族の兵から逃げていた。
「こっちに居たぞ!! 追え! 追えーっ!」
「くっ、もう追っ手が……」
「貴様ぁ……、牢から抜け出しやがって!!」
「もう、これしか手が――、無い」
お願い、届いて。
私の、風(フィル)を、どうか、誰か。
小さな光が、彼女の体から飛び出し、白い球体を造り上げた。
「貴様、何をしている!? まさか……、人間界に!!」
「――我が御霊(みたま)の能力(ちから)を、――他が者に与えん」
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