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「あなたには記憶がないんじゃないの?」
天使が疑問を口にする。
確かに生前の記憶がなければそのような格言じみたことばも覚えてはいないだろう。
「でも何かこの言葉だけは覚えてたんだよな。もしかしたら座右の銘か何かだったのかも。」
と俺は思い付いたことを口にする。
「まぁ実際、記憶がないから分からないんだけどな。」
「じゃあ、名前も覚えてないの?」
また記憶を探してみる。
改めて探ってみると記憶が全くない、という訳ではなかった。
しかし、『思い出』といわれる物はまったくなかった。
それでもなんとか自分の名前らしいものを探ることはできた。
「はは…。なんだこれ、だっせぇ名前だな。」
「俺の名前は太助だ。」
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