13人が本棚に入れています
本棚に追加
二人で村に戻ると村長が心配そうに寄ってきた。Rayは少し村長と話すと言うので、Tomは先に家に帰ることにした。
愛用の弓をしまい、しばらくぼーっとしているとRayが窓からひょっこり顔を出す。
「そんじゃ俺、帰るわ。
また近くに来たら遊びに寄るから」
「ああ、気をつけて」
手を振り、見送る。彼は確か砂漠の方の出身で、一時期ポッケ村にいたそうだ。今は故郷でのんびり暮らしている、今度お前も来いよ、と笑顔で言っていた。
「砂漠か……」
Tomはそこに数回訪れたことがある。その風景を頭に浮かべ、その気になればどこにでも住めるものだと感心した。
日はだいぶ傾いていた。飯でも作るか、キッチンへ向かおうとした時、コンコンと玄関がなる。誰が来たのか見当もつかず扉を開けると、そこにいたのは何匹ものネコを背負った婆さんだった。
「こんばんは。いきなりで悪いんだけど、
アンタ、アイルーを雇わないかい?」
「何ですか、それ」
聞いた説明をまとめると、婆さんはネコバァという人で、キッチンアイルーやオトモアイルーをハンターに紹介している。
キッチンアイルーとは自分の代わりに料理を作ってくれるアイルーのことで、キッチンさえ貸してくれればあとは適当にやってくれるらしい。オトモアイルーとはクエストに一緒に付いてきていろいろと手伝ってくれるアイルーだ、とのこと。
どちらもやってくれることはありがたいのだが、如何せんアイルーである。我が家のあちこちで駆け回るネコを想像するだけで、憂鬱過ぎる。
Tomはその場で丁重にお断りした。
気が向いたら、いつでも、言ってくれ、この村に時々来るから、と言ってネコバァはどこかへ消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!