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とりあえずあるもので夕食を済ませベッドに横になる。そういえば、と貰ったギルドカードを取り出し眺める。 Tomがギルドカードを貰ったのはこれが初めてである。見た目や手触りで、自分のそれよりも良い素材で作られていることがわかる。きっとこの人は強いのだろう。強い者は質の良いギルドカードを持つと聞いたことがある。 Rayの装備を思い出す。確かあれはディアブロスの防具だった気がする。ぼんやりとした記憶だが、父の防具コレクションに似たようなものがあった。因みに母は尻尾コレクターで、尻尾を持ち帰る度にスケッチを描いて大きさ、重さ等を正確に記録していた。 自分の防具を頭に浮かべる。寒さ対策のマフモフと、リオレウス亜種の素材から作られたものの二種類である。 関係ない、自分は今までずっとこの装備でやってきた、強いとか弱いとかそんなものはどうだっていい。要は、死ななければそれでいいのだ。Tomは自身に言い聞かせるように呟きながら、静かに目を閉じた。
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