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最初にそれを聞いたとき、俺は天にも昇る気分だった。他のことが全て頭から吹き飛ぶほどの、喜び。
「Ray、雪山にティガレックスが
現れたそうだ。行ってみるか?」
砂漠の端の少しだけ豊かな、それでもその豊かさは街に比べたら寂しいものであろう、俺の故郷は、つまりは今いる場所なのだが、そういう場所にある。ここから雪山までは距離がある。普通ならそんな遠くまでは行かないが、今回はわけが違う。
ティガレックスが、いる。
別に因縁の相手というわけでも、長年探し求めてきた飛竜というわけでもない。単純にティガレックスという竜が好きなのだ。だから、俺が出した答えはたった一言。
「行ってきます!」
がちゃがちゃと慌ただしく武器防具を準備し、袋に食料や水、回復薬などをぽいぽいと適当に入れ、最後に観察用にと双眼鏡を詰め込んで雪山へ向かった。
そういえば、雪山と言えば近くにポッケ村という村があったはず。
「オババ、元気かな?」
Rayの父とポッケ村の村長であるオババは仲が良く、その関係で一度ポッケ村に派遣されたことがあった。
懐かしさに自然と頬も緩む。楽しみを倍加させながら、モンスターの気配のない道を辿って行った。
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