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一気にベースキャンプまで戻ると、ぜいぜいと息を切らしていたハンターさんが、さっきのはなんだ、と質問してきた。
「これだよ」
袋から先程投げたものと同じものを取り出し、ティガレックスに効くんだ、と付け加えて見せる。閃光玉を知らないとは、新米ハンターなのかな。
「それにしても間に合って良かったよ。
雪山にティガレックスがいるって情報が
入って、だからポッケ村に来たんだよ。
そんでハンターが知らずに雪山に行った
って聞いたから慌てて来たんだ」
話しながらハンターさんを見ると、興味のなさそうな顔をしていたので、話題を変えようと試みた。
「そうそう、これ」
今の声は少しわざとらしかったかな、などと考えながら自分のギルドカードを差し出す。ハンターさんは慣れない手つきで受け取っていたからやっぱり新米さんかな、なんて思った。
「Ray、でいいんだよな。太刀を使うのか」
「そういうTomは弓なんだな」
それなのに、Tomのギルドカードに書かれていたのはHR5の文字。全く新米と言える相手ではなかった。何故、上位レベルの実力を持つ者がこんな寒さ対策としか思えない装備なのか、閃光玉を知らないのか。
この、Tomという男に俄然興味が湧いた。
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