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「否、某は授かった運命の導きのまま、ただ主と行動を共にしているにすぎない
孝信が働くのならば、某も共に重荷を引こうぞ」
遠くから、何か喋っている音が聞こえる。
もう嫌だ、止めてくれ、苦しい、熱い、暑い。
喧しい、そんな台詞は耳にタコだ。
こんな所に来たやつに、そんな事をいう権利は無い。
「じゃあ、もうちょっとサボろうぜ、もうちょっとであがりだしよ」
「承知した、それではもう少し足を借りるぞ孝信」
吉の字が再び顎を俺の足に乗せて、牡丹の痣がついている左前足をペタンと床につけた。
一際大きな悲鳴が上がり、小さな金属同士が擦れあう耳障りな音が聞こえてきた。
さっきまでの様子とは別物だ、傷みと恐怖で錯乱してきたか。
だが、そんな物でここの奴らは手を緩めたりはしない、そういうものだ。
ひたすらに罪を焼き続ける、魂にこびり付いた罪が消えてなくなるかもしくは……。
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