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「ほーたーるのーひーかーり、まーどーのゆーうーひー」
どこからともなく、聞きなれた音楽が流れてくる。
その音色を皮切りに、さっきまでの雰囲気はどこへやら、聞こえていた嗚咽はどこかへ消えて、声を上げさせていた主は背伸びをして仕事道具を壁に立てかける。
「うーし、時間だな、タイムカード押して帰るぞ吉の字」
「定時上がりとは、毎度の事ながら気楽な人生だな、地獄の沙汰も形無しよの」
さっきから煩い奴だ。
地獄の番犬ケルベロスの癖に、俺を見張ってどうすんだっつーの。
罪人を見張ってろ、罪人を。
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