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吉の字が顎をどかすと同時に、俺も重い腰を上げて焼き鏝を手に取る。
穴倉から出ると、火柱はさきほどより小さくなっていたが、目が眩むほどの光りと熱を未だ発し続けていた。
俺のサボリ場の外は、すり鉢上の地形に、鉄格子付きの穴倉がいくつもならぶ集落。
本か何かでコロシアムとかいう闘技場を見たことがあるが、それに少しばかり似ている。
最も、ここでの見世物はひたすら悪人共を火で炙るだけの、サディスティックな性癖のある奴しか楽しめはしないだろうが……。
そして豚箱の中には、現世で罪を犯した罪人共ががん首揃えて自分の番が来ない事を祈りながら毎日を過ごしている、だが残念な事にその瞬間はいつか来るのだ。
「全く、怯える罪人共を見るのがそんなに楽しいか……この悪魔めが」
「鬼だ」
「おぉそうであったな」
このやり取りもいい加減飽きてきた。
さっさとシャワー浴びて着替えて、コンビニでジュースでも飲みながら帰りたい。
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