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熱気もこことは一線を成す壮絶さ、何せ火柱の大元、忠拘様の傍で仕事するんだからな
親父はよくそんな所にいると思うよ、そこだけは尊敬している。
「おっそーい孝兄ぃ、それに忠吉(ただよし)も、あんなサウナさっさと出るに限るんよ」
背中を叩かれて、気を抜いていた体が前のめりになった。
また煩い口が一つ増えたな。
「急かすなよ信乃、アイスは逃げねぇぞ」
俺の妹、平坂信乃(ひらさか・しの)は仕事着から普段着へ着替えて立っていた。
上から下まで灰色の、とても女が着るとは思えないセンスの外套を、サイズが合わないのに袖まくりをして無理に着ている。
おまけにシャツとスカートは一丁前のブランド品のくせに
何故か足元だけは地元の靴屋で買った白地に黒抜きで紅葉模様が散りばめられている派手な靴を愛用していた。
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