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ドアを閉めて、ほっと息をつく。 そして抱き抱えたこの女の子の顔を改めて見つめた。 彼女の体はとても冷たくなっていた。 とりあえず、俺のベッドの上に横にならせる。まさかニュースで見ていた子が目の前にいるなんて…… まるで息をしていないように眠る彼女を起こさないように、そっと上掛けを肩まで伸ばした。 午前5時、いつもは眠くてシャワーも浴びずに横になっていたけれど、今日は目がさえて、少しも眠くない。 ウイルスは感染者が水になったその液に触れることで、広まるらしい。だから今日はまだ感染していないはず。 ベッドによりかかり、テレビを見はじめた。 急にうるさくなったせいで、女の子がしかめつらをして薄目を開ける…… そして、ぼんやりと辺りを見回して、俺の顔を見るなり、目を見開いて驚いた表情をした。そして、ベッドの上で土下座し始めた。 「ご、ごめんなさい。私、私のせいで貴方感染したかも……ごめんなさい。ごめんなさぃ……」 俺は自分の手をじっと見つめて、ため息をついた。 「別に……それでいい。気にしないで」 と言っても、彼女は微動だにしない。 俺は近寄って、両肩を掴み、顔を上げさせた。 「それに、まだ君は水になってないんだから、俺は感染してないだろ?」 うんと頷き、下唇を噛む。下を向く彼女は、それでも耳にニュースが入ってきたらしく、スッとテレビに目を移した。 俺も同じように振り返る。繰り返し昨日と同じ収容所から脱走した人のニュースだった。 どうやら逃げ出したのは5人で、4人は既に捕まったらしく、白い防護服姿の人に両腕を抱えられた白いスモックの男の映像。彼は住宅街の一軒家の庭先に忍んでいたようだった。 そして次も同じような感じで捕まる女…… 「みんな、捕まったんだ……」 ぼそっと彼女が呟いた。目には涙が溢れていた。
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