1 始

4/15
前へ
/53ページ
次へ
彼はドアの前に立ち浅い深呼吸をひとつしてドアを開ける すると騒がしかったクラスが一瞬静寂へと切り替わる そしてまた騒がしい教室へ戻る 俺はこの瞬間が嫌いではない 注目を浴びるのは嫌いだけど 俺が起こした行動で何かが起こる というのはどこか心地好い そんなことを考えながらも 彼は自分の席を探し そこへ足を運ばせた 数人のクラスメイトとなる人達とすれ違う 多くの人が僕を横目で見て ひそひそと話している 不快に思いながら またも 彼は誰にも聞こえない 自分にしか聞こえない声で 「ほらね…」 彼は悟ったように 遠くを見つめる目をしていた
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加