プロローグ

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月曜日。 ムツミは、大学時代から彼女で、この付き合いももう5年になる。 ワガママで意地っ張りで面倒臭い女だ。 今まで何度も喧嘩し、別れようと切り出しても、その度に泣いて俺から離れようとしない。 自分は果てしない束縛を俺に強いてきて、俺が仲間と呑みに行っている時も何度も電話してきて「浮気してるのか?」とか「早く帰りなさい。」とか言うくせに、自分が呑みに行っている時に俺が電話しても出やしない。 今日もそうだ、せっかくの休みを潰してわざわざ千葉の柏まで来てやったというのに、連絡した時間よりも十分送れただけでふて腐れて怒り出し、浮気をしていていたのではないかと言ってくる。 だがこのやり取りももう五年。いい加減慣れた。 それに五年も続くという事は、俺もこいつを必要としているだろう。 ムツミはなかなかの美人だ。部屋は汚いが料理は上手い。 いくら喧嘩をしても俺が「愛している」と言えば、照れて笑う。 その顔がまた可愛い。 俺はムツミを愛している。 『縛られると息が苦しいが、縛られなければ生きていけない。』 俺はその夜、ムツミを抱いた。
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