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小学校の高学年の時。
おじいちゃんのお兄さんの孫、つまりはとこにあたる、結城凜沙ちゃんとお勉強する毎日。
近いうちに死ぬのはわかってた。
だから、少しでもこの世に生まれてよかったと言いたい。
少しでも、社会の中に、自分の名前を残したい。
だから、必死に勉強したのだけど。
「顕治君。君は今……」
「わかってます、お医者さん。肺の穴も、喀血も。全て異常なんですよね?」
「なっ…!な、なら、君は…」
「わかってます。高校を卒業するのも難しい……ですよね?」
「まだ君には何も言ってないのに、どうして…」
「僕だって、生きてるんです。勉強すればわかりますよ。」
「………」
お医者さんの驚く顔を見ること。それが、楽しみだった。
そして、このお医者さんは、僕の一生を診る(見る)ことになる。
時が動いたのは、この数日後。
「顕治君、申し訳ないけど、君はもうここにいられない。」
龍造寺の大社長から、実質的に追い出された話。
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