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「……そうですか。」
「本当に申し訳ない。ここに働く者が君を見ると、どうしても顕治君の親を思い出してしまうんだよ。」
「僕の親は…何をしたんですか?誰も何も教えてくれない。」
「それは必ず話す時が来る。その時まで待ってくれないか?」
「わかりました。」
「わかりましたじゃない!」
こんな大きな部屋に響き渡る程、大きな声を張り上げて、扉を壊す勢いで入ってきたのは、結城凜沙ちゃん。
唯一の友達。
「ねぇ、何で?時々血を吐くこと以外、何も変わらない人間なんだよ!?」
凜沙ちゃんは、すごく頭がよかった。
僕が必死に勉強したことを彼女に教えると、簡単に覚えてしまう。
「り、凜沙よ…聞いてくれ。」
「顕治君を追い出すなら、私も顕治君についていく。」
そして、何より頑固。
「………」
この人もそれを知っていたからだろう。
「そうか…。わかった。毎月仕送りをする。ただし、中学も病院の近くに通わせるからな。」
悩んだ時間は長かった。30分ほど唸って出た答だった。
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