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「貴様で最後か…。貴様は俺の女に手を出した…。ここで死んでもらおう…。」
「ヒィッ!やめっ…!ギャアアアア!!!!」
ハルカは男を斬り裂いた。
男は大量の血を出し、絶命した。
「大丈夫か?」
ハルカは刀に点いた血を拭き取り、マユの腕を縛っていた縄を切った。
「総帥…。何故ここが……?」
「お前の通信機が落ちていて、殺し損ねた中毒者に連れて行かれたのか、と思ってな…、そして、お前の叫び声が聞こえて、もしかしたらって…。」
ハルカは自分の着ていた軍服の上着をマユに羽織らせた。
「助けが遅れてすまなかったな…。」
マユの頭を撫でた。
「総…帥…。っ…ヒック……」
マユは涙を流し、泣き始めた。
「泣くな。」
ハルカはマユを抱き締めた。
「お前が無事で良かった…。それでいい…。」
そう言ってハルカはマユの涙を指で拭った。
「総帥…。」
「帰るぞ。ミッション成功の報告をしないとな…。」
「っ…はい。」
ハルカは立ち上がった。マユも続いて立ち上がった。
「腕…怪我したのか?」
ハルカは布が巻かれているマユの左腕を見た。
「あ…。これは、中毒者と戦った時に…。」
「帰ったら手当てだな…。」
「すいません。」
「謝るな。」
ハルカはマユの頭に手を置いた。
「お前は悪くない。」
「しかし…。」
マユは俯いた。
「帰るぞ。」
ハルカはマユの手を握った。
「っ!総帥…!」
マユの声を無視し、ハルカは歩き出した。
戻るとき、マユの手を握り締めていたハルカの手はとても温かかった。
信号弾を使い、迎えの車を待った。
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