第4章 知られ会う2人

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レインがイサラ達と出会ったのは、4年前の事だ。 森の中で倒れていたレインをイサラが助け、自分が住んでいる小さな家に運んだ 森の中に建ってる小さな家 その家のベッドにレインを寝かせた。 目を覚ましたレインは記憶が無く、自分の名前以外は何も覚えていなかった。 身体中はぼろぼろで、最初はイサラにも、何も喋ろうとはしなかった。 それでイサラは気づいたのかもしれない。 レインが身体だけではなく、心もぼろぼろだって事に だからこそ、イサラはレインの看病を続けた。 薬を塗り、包帯を替え、食事を食べさせる。 そんな日々が続いた時、レインが初めて口を開いた。 イサラは驚き、咄嗟に右目を手で隠した。 眼帯の事を聴かれると思ったのかもしれない。 だが、レインが言った言葉はイサラの予想を大きく外すものだった。 「名前を……教えてくれないか…」 ようやく聞くことができた声に、イサラは少し驚いてしまう。 でも、すぐに微笑み、小さい一声で言った。 「……イサラ」 名前を言った後、レインも微笑み、自分の名前を言う 「俺は……レイン」 この小さな自己紹介から始まり、イサラはレインにある事を話した。 「行こう」 それを聞いたレインは一言だけ、そう言った。 まだ体が治っていない状態でレインは、イサラを連れてある場所に向かう。 その場所でレインは1人の女の子を連れ出した。 広い部屋の隅で、小さく縮こまっていた女の子を。 「メリア!」 イサラが嬉し泣きをしながら、メリアと呼んだ女の子を抱きしめていた。 「イサラ?」 状況を理解できていないメリアが、イサラをそっと抱き返した。 「……よかったです」 涙声で震えるイサラに、メリアも涙を流していた。 「イサラの…方こそ…」 しばらくそうして落ち着いたのか、イサラから離れたメリアがレインの方を見てきた。 「誰?」 「この人は……」 イサラは少し考え込む。 そして、微笑みながら言ってきた。 「私達の…新しい家族です」 目を丸くする、レインとメリア。 微笑みを浮かべるイサラ。 これがレインとイサラ、メリアとの出会いだった。
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