第4章 知られ会う2人

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(何か…懐かしい事が夢に出てきたな) 意識が覚めて、レインは最初にそう思った。 いつの間にか眠ってしまってたようだ。 イサラ達と初めての出会い、今では家族同然になったものだと感じる。 (イサラが言った言葉は間違ってなかったんだな) レインは心の中で微笑み、両目を開こうとした――― 「だからっ! 私にも差せてよイサラ!」 「ダメです。 まだ私の時間なんですから、もう少し待ってください」 何故かイサラとメリアが口論していたので、開きかけた両目を閉じて、寝たふりする。 「こういう時に限って、イサラはジャンケンが強いんだから」 「いいじゃないですか。 次はメリアが膝枕できるんですから」 「そうだけどー」 拗ねたような声をメリアが出して、イサラは小さく笑い、レインの頭から額にかけて撫でた。 少し冷たい手の感触をレインは感じる。 ―――なるほど、どうやらイサラが膝枕をしているのを、メリアが早く替わってくれって頼んでるようだな。 (どうりで後頭部の感触が気持ちいいと思ったら、イサラが膝枕をしてくれたのか) ―――膝枕!? 「何でそんな事に!?」 「きゃっ!」 「む?」 理解した事が予想外の出来事だったので、レインは声を上げて、両目を開いていた。 上半身を起こす事は何とか堪えて。 その事に驚くイサラに対し、メリアは口を尖らせたまま、レインを見ていた。 「あっ! 起きましたか兄さん。 いえ、少し前に起きてたようですね」 「っあ、えっ、っていうか何で…?」 「兄さん、急に倒れるように眠ったんですよ。 だから、私が膝枕をしてあげました」 冷静に説明してくるイサラにレインは今でも膝枕されてる事を一瞬忘れた。 「やっぱり…起きちゃったよ」 そうぼやくメリアにイサラが言った。 「いいじゃないですか。 次はメリアの番ですから、兄さんに膝枕をしてあげてください」 「あの…イサラ。 俺の選択肢は―――」 「私だけがして、メリアがしなかったら、不公平ですよ」 「はい」 レインは何も言えず、メリアに膝枕をさせてもらう。 当然、気持ちよかった。
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