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H県某市、位置で言えば西日本。
昭和が終わりに近づいた頃、その男はこの世に生を受けた。
命名は「道成(みちなり)」
「道」を「成」すと言う字をあて、
祖父が考えた物であった。
鳴行家の長男として生まれた道成は、家族の愛情をたくさん注がれ、
とてもスクスクと育った。
しかし、あまりにも何不自由ない生活が災いしたのか、
あまりにも周りに流され続けたのか、
道成は「生き抜く」ための貪欲さを失い、
「流されて生きる」事をその身に染み付かせた。
その事が顕著に現れたのは、道成が小学生の頃である。
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