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暑い…京都の夏は暑い。
“冬は馬鹿みてぇに寒いくせに…”
ぶつぶつと呟きながら、彼は歩いていた。
暑いと呟きながらも、汗はさほど流していない…
軽く着流した着物に二本の刀。少し長めの脇差し。笠を被っているが、見え隠れする顔立ちは役者のように整っていた。
そんな彼を見かけると、人々は道を空け、眼を反らす…関わる事を拒むように。
そんな人々の冷ややかな反応も気にせず、彼は歩いていた。
…泣く子も黙る新撰組の副長土方歳三だった。
歳三は、一瞬あたりを見回した後、小さな寺へ入っていった。
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