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古びたお堂の前に立ち、被っていた笠を足元に置き手を合わせた。 その後、着物の袂から小さめの饅頭を取り出し、賽銭箱の端に並べて置いた。 … 小さな声で何かつぶやいている様子だが、言葉になる前に風で消されてしまった。 再び笠を被ろうと、手を伸ばした時に背後に気配を感じ、手を止めた。同時に鋭い視線は気配の方向を見据える。 “殺気はないか…” そう。気配には殺気は無かった。しかし、彼の知らない人間の気配… ゆっくり気配の方に振り返った。 「よっ!」
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