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「久しぶりよの…」 先に口を開いたのは龍馬だった。 「ああ。あん時とは時勢も立場も変わっちまった…」 「あぁ…」 あの時…黒船を見に行った浦賀で偶然逢った時の事だ。 「しっかし、ワシの事覚えちょったか」 龍馬はうれしそうに話しはじめた。 「まぁ、な」 …あんな奴めったにいないから、忘れる方が難しいっ! とは言えずに、歳三は言葉を濁した。 「新撰組鬼副長が、寺で手を合わせているとは…」 龍馬はニヤニヤしながら言った。歳三は笠を被り直しながら深目に被り、顔を隠した。 …こいつは苦手だ… 隠れた顔から、そんな気持ちが読み取れた。
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