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「だっ誰に向かって言っているか、判っているのか?」 歳三は珍しく取り乱し言った。そんな彼とは対称的に龍馬は、ニコニコしながら答えた。 「多摩の薬売りだった土方っちゅう男じゃ」 確かに今は、新撰組という冠ははずして、土方歳三一個人として龍馬と話していた事を思い出し、軽く咳ばらいをした後、答えた。 「確かにいい案だな。ただ、海の近くでそだったお前と違って俺は、船に馴染みがないからな…どうも、地に足が着いていないってのは落ちつかねぇ…」 悪名高い新撰組副長らしからぬ発言に、龍馬が歳三の顔を覗き込むと、バツが悪そうに顔を反らされた。 「おんしでも、苦手なモノがあるんか…」 「それに、こいつは手放せねぇよ」 そう言って、腰の刀を軽くたたいた。 「そんなもん、持たなくなる世の中が来るきぃ…」
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