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野次馬の喧騒から離れた、小高い丘の上から船を見ている若者が一人。
大きな行商用と思われる木の箱が足元に置かれている事から、行商を生業としているかと思われる。
微動だにしない男の視線の先には、黒船があった。
世間を騒がせている黒船を、ただ見に来ている野次馬達とは違う視線を注いでいる。
興味と言う簡単な言葉では片付けられない、鋭くて意思のこもった視線で…
「でけぇ…」
若者は低い声で呟く。
400年間鎖国された日本。独自の文化を発展させるも、諸外国から取り残されていた。そのような中で日々を過ごしていた彼には、この黒船がどのようにみえたのだろう…そして、何を見ているのか。
これから始まる時代の流れにのまれる、己の姿を垣間見たか?
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