そして北の果てへ

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…冷えてきたな… 海風の冷たさだけではなく、北に向かっている故か風は一層冷たくなってきた。 「副長、日没です。そろそろ中に入られて下さい」 「あぁ…」 若い隊士が声を掛けた。 気のない返事をして、そのまま海を見ている。 先程声を掛けた隊士は歳三が動く気配を感じないので、一旦船室に戻った。 蝦夷の地に何があるのだろうな… 俺らが向かう先に明日はあるのだろうか… 希望… 榎本さん辺りなら、そんな答えが返ってくるだろうが、俺はどうだ?… 自問自答する 俺は… 乾いた笑いがでた。 希望なんて、ねぇ…
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