9人が本棚に入れています
本棚に追加
地図に滴る汗、左右を見渡す。
ため息をひとつ、手の甲で染み出る水滴を拭いてハーフパンツに擦る。
後ろでは騒ぐ声、もうひとつため息。
香水の匂いが鼻に触る。
Tシャツの裾が引っ張られる。早くしろと騒ぐソイツ。
「ねえ、まだなの?」
うるせぇ。まだだよ。こちとら忙しいんだ。少し黙っててくれないか。それと、その香水どうにかならないか?鼻に触る。
「え?いい匂いじゃん。文句ある?それより、川原河南はそろそろ充電切れであります」
と敬礼しながら言う。
文句ある。嫌いな匂いじゃないがシュッシュカ付け過ぎだ。
実に厄介だ。別にコイツは嫌いではない。むしろ好きな部類だ。一緒にいて楽なヤツだ。しかしこういう状況で騒がれると少しばかりキツいモンがある。
なぜこうなったのか、もとの発端は親同士の策略によるものだった。
最初のコメントを投稿しよう!