いつまでも君だけを 黒紫

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「もう少し…。もう少しやで、ひな。」 そう言いながら、ベッドに静かに横たわっているひなに近寄れば優しく頬を撫でる。 この時をずっと待っていた。あともう少しやで、ひな。 (いつまでも君だけを) 「次のニュースです。最近また…」 またや。また同じニュースをやってる。連続通り魔事件のニュース。手口はまさに吸血鬼みたく、血一滴残さず相手から吸い取る、という。 俺はこの事件の犯人を知っている。…なぜなら、この事件を起こしてる犯人は俺やから。 「もう少しだけ待ってくれ。あとちょっとやねん…」 テレビの電源を消せば、消え入りそうな声で呟く。あと、ちょっとでひなが俺の元に戻ってきてくれる。あと、ちょっとで…。 事件が起こり始める前、俺はひなを失った悲しみで抜け殻になってしまったように毎日をぼーっとして過ごしていた。 テレビをただなんとなく、ほんとになんとなく見ていたら、吸血鬼の特集をやっている番組が始まった。 最初は適当に眺めていたが、ある話に俺は釘付けになった。 「復活の儀式、か…。」 ある吸血鬼は突然大切な恋人を失してしまう。途方に暮れる毎日を過ごしていた吸血鬼はある日、吸血鬼に代々伝わる本を見つける。そして、そこには復活の儀式の方法が載っており、それをやってみると無事に恋人が生き返った、と言う話だった。 その方法とは恋人と同じ血液型で同い年の血液型の血を五人分集め、毎回1人分の血を使いキスをし、五回目にキスをしたときに恋人が蘇るというものだった。 「これや、これ!」 これをやれば雛はきっと生き返ってくれる。 それから毎年1回、雛の誕生日に雛と同じ血液型で同い年の人を襲い、血を限界まで吸い取って家に帰ってきてはその血を口に含み雛にキスをしていた。 …そして今日が5回目の日。あと、ちょっと。あと、ちょっとで雛に会える。出掛ける前に、一目雛を見ようと、雛が居る寝室へと向かう。 「ひな、今日で最後や。今日でやっと雛は生き返れるんやで?」
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