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「おい!無視してんじゃねぇよ!」
妖狼に襲いかかった男が少年を掴もうと腕を伸ばしたが、逆に腕を掴まれ、そのまま勢いよく地面と接吻するはめになった。
「っ!こんのくそグェ!」
男が起き上がろうとしたところを、すかさず少年は背中の上に乗った。
「さてと、一つ聞きたいんだけど、君は子供に暴力を奮うかな?」
「ああん!?んなことするわけねぇだろ!」
「そうかい。なら無抵抗な人には?」
「しねぇよ!」
「それならおかしいねぇ?君はついさっき無抵抗な狼を殺そうとしたはずだよ?」
「あれは人じゃねぇだろ!妖怪だ!」
「ふぅ。」
少年はため息をつき、男の背中に指を食い込ませた。
「イダダダダ!」
「すっごい痛いでしょ?」
「イダダ!分かってるなら止めろ!」
「やだ。僕ね、あの狼が異形だなんて気がつかなかったよ。でも、生きていることは分かったよ?生きてるってことは君と同じ何だよ。」
少年はそう言うと背中から降り、男の頭の上でしゃがんだ。
「だからさ、異形だからって悪いものって決めるのは駄目だよ。・・・された方は辛いんだからさ。ね?」
少年は最後の台詞を言うときに、何処か悲しそうな表情だった。
「・・・・・・分かったよ。俺が悪かった。」
「ん、痛いことしてごめんね。」
「あっはっはっはっはっ!」
「け、慧音?どうしたの?」
「いや、何でもない。・・・妹紅、あの子は変わった子だな。気に入ったよ。私が預かったら駄目かな?」
「物好きね、慧音は。別にいいんじゃない?あの子の返答次第だけどね。」
「よし、それなら一度里に戻ろう。」
これからがとても楽しみだな。あの子がどんな風にこの幻想郷に影響を与えるのかが。おっと、そう言えばあの子に言い忘れたことがあったな。
「ん?どうしたの?」
「幻想郷へようこそ。」
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