陽気な主人公

5/6
前へ
/58ページ
次へ
少年は妖狼の頭をなで、私の横を通りメーさんの毛皮に手を突っ込んだ。 「え~っと。あったあっ、あー!」 少年の声に振り返ると自警団の一人が妖狼に忍び寄っていた。 「死ねー!」 「お前がしねー。」 少年が緩い口調で物騒なことを言いながらメーさんの毛皮の中から取り出した布巾着を投げつけた。 「うおっ!」 後頭部に布巾着がヒットして男は倒れ、さらに妖狼がその頭を踏みつけた。 「グルルル!」 「ちょっまっ!助けてくれえー!」 「ガァ!」 「はいストップ。」 「グウ。」 今にも噛みつきそうだった妖狼は少年の声で止まり、足を退かした。 「はぁはぁ。・・・ふざけてんのか!このくそガキ!」 少年は男に罵声を浴びせられたが、気にすることなく妖狼に近づいた。 「ごめんね?恐い思いさせて。今日はそれで僕たちの事を見逃してよ。ね?」 少年は許しを請い、地面に落ちている布巾着を指差しながらそう言った。それを理解したのか、妖狼は布巾着を加え、茂みの中に戻っていった。これを見て、私は見事なものだと感嘆の息を漏らした。だが、問題が一つ残っている。・・・・・・どんな対処を見せてくれるか楽しみだな。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加