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少年は妖狼の頭をなで、私の横を通りメーさんの毛皮に手を突っ込んだ。
「え~っと。あったあっ、あー!」
少年の声に振り返ると自警団の一人が妖狼に忍び寄っていた。
「死ねー!」
「お前がしねー。」
少年が緩い口調で物騒なことを言いながらメーさんの毛皮の中から取り出した布巾着を投げつけた。
「うおっ!」
後頭部に布巾着がヒットして男は倒れ、さらに妖狼がその頭を踏みつけた。
「グルルル!」
「ちょっまっ!助けてくれえー!」
「ガァ!」
「はいストップ。」
「グウ。」
今にも噛みつきそうだった妖狼は少年の声で止まり、足を退かした。
「はぁはぁ。・・・ふざけてんのか!このくそガキ!」
少年は男に罵声を浴びせられたが、気にすることなく妖狼に近づいた。
「ごめんね?恐い思いさせて。今日はそれで僕たちの事を見逃してよ。ね?」
少年は許しを請い、地面に落ちている布巾着を指差しながらそう言った。それを理解したのか、妖狼は布巾着を加え、茂みの中に戻っていった。これを見て、私は見事なものだと感嘆の息を漏らした。だが、問題が一つ残っている。・・・・・・どんな対処を見せてくれるか楽しみだな。
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