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最近じゃ青少年保護条例とかで未成年者の深夜の徘徊はかなり制限されてるらしい。夜にブラブラと出歩かない俺からしたら知らなくても侵すことのないルールだが、今夜ばかりはちょっとぐらい知っているべきだと思った。そんなことを考えつつ、俺は夜道を自転車で学校へと向かっている。
事の発端は教科書を学校に忘れ、宿題に手を付けられないことに始まった。今じゃほとんど同居している祈に借りられれば早い話だったが、タイミングが悪いというか新しい厄介事の布石としか思えない偶然で祈も教科書を忘れていた。
「むー、仕方ないから学校まで取りに行きましょう」
「即決即断はいいが、一緒に行こうって意味に聞こえるのは気のせいか?」
「お、大分私のこと分かってきましたね。この時間じゃ帰りの電車がありませんから、自転車になりますが致し方ありませんね」
話がトントン進むのは結構だが進む方向による。
「単に夜の学校行くのにワクワクしてるだけだろ?」
祈の思考も少しは分かって気がする。悪意ではなく好奇心だが、俺への気遣いはどこかズレている。
「それは二番目です。一番は自転車に二人乗りできることに決まってるじゃないですか」
「そこまで分かるかっ」
なんで分からないのかわかりませんという顔をされたが俺は善戦したと思う。
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