信じぬ者の憂鬱

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遅刻が決まった言い訳をするならば、 始まりは鳴らなかった目覚まし時計。通り過ぎた短針と長針が眠気を一気に払ってくれた。急げば未だ遅刻にならないギリギリの時間。 「クソッ」 悪態をつきながら身支度を済ませる。冬休み明けの一日目、体のサイクルが休みボケだ。朝食を諦め、シャツの裾を入れないまま鞄をひっ掴み玄関を出た。で、財布と伝言を忘れた事に気付きすぐさま帰還、出掛けに唯一の身内、まだ惰眠を貪る姉に、 「悪いけど、昨日の余りあるから朝飯はそれで我慢してくれよ、いってきます」 と一応律儀に声をかけた。言っておかないと後がうるさいのだ。 まぁ、いつもの習慣は休みボケ解消のリハビリみたいなものだからってのもある。
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