信じぬ者の憂鬱

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さらに、やっと駅に到着したのも束の間、道端に落ちていた空き缶に気付いてしまい、拾いあげ盛大にゴミ箱に投げた。それは綺麗な弧を描くとそのまま運良くゴミ箱に向かい入ったかと思いきや、運悪く角にぶつかり中身をぶちまける結果になった。一瞬自分の時間が止まる。 「…だぁーっ」 我ながら情けない奇声を発し、半ば自棄に散乱した空き缶を立て直したゴミ箱に突っ込んでいった。空き缶と書かれたゴミ箱に入っていたペットボトルを仕方なく分別しながら。 改札を駆け抜けながら壁時計に目をやる。間に合う、と思った。
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