信じぬ者の憂鬱

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そして七転八倒気味な今に至る。対照的な二人がベンチに座っている。彼女はというと、何故か上機嫌で左右に二つに結った髪が嬉しそうに揺れている。何を考えているのだろうか。ふと疑問を投げかける。 「さっきの言葉からすると、あなたは交差点の辺りから俺を見ていたんですか?」 見られていたのだとしたら恥ずかしいだけだが念のため最悪のとこから聞いてみた。傷は浅く早い方がいい。 「?、そんなのお家を出たとこからに決まってるじゃないですか」 「…そこからっ!?」 彼女は小動物のように首を傾げながら当然のように答え、脊髄反射の如く俺はつっこんだ。醜態は一から見られていた。 「どこに不自然な点が?」 はてさて、といった感じだが、こっちもそんか感じだ。世界の常識は年明けと共に変化したのだろうか。 「えーと、確認しますけど、俺らって初対面ですよね?」 「あなたと私はそうなりますね」 当てずっぽうではあったが基本的な質問はちょっと効果的だったようだ。とっかかりが見えてきた。 「もしかして、姉貴の知り合い?」 「知り合いというか、引っ越しの挨拶に伺った際に顔を合わせただけなんですけど…ってもしかして何もお聞きになってませんか?」 腑に落ちた。あの姉貴なら確実にそういうこと言い忘れる。 「こちらの落ち度です。身内の恥を晒すようで恐縮ですが、生活スタイルが正反対なので」 渋々と頭を下げる。
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