「勉強する」とは口実で。

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「中学時代の中間と期末のテスト期間は 君の部屋の電気が朝までついてたみたいだからな。」 「て事は姉貴も朝まで起きてたって事じゃん!」 「私はたまたまトイレに起きただけだ。 一夜漬けは頭に入らない事は実証済みだったしな。」 勝ち誇った顔をする姉貴。 「て事はさ 姉貴も一夜漬けやった事あるって事じゃん!」 弱味をつけこまれた気がして 少し動揺している自分がいる。 「何事も経験が必要だ。」 姉貴は机に肘をかけて頬杖を付きながらケラケラと笑う。 私が姉貴の家に遊びに来たのと同じように 姉貴も私の家に遊びに来た事がある。 その話しもまぁ、 後日談という事で。 「所で君はよく暇を持て余してるようだな。 ゲームとか時間を潰せるものなら色々あるだろう?」 「俺やるゲームは大体格ゲーだし、 相手いないとつまらないし。」 ふ~ん と姉貴は言った。 「姉貴は一人の時いつも何してるん? …て、 まぁ聞かないでも大体想像つくけど。」 「テスト前なら勉強、 それ以外なら大抵仕事をしてるな。」 「だよね~。」 私は軽く相槌を打った。 この「仕事」というのが 姉貴という「個」を形成しているものなんだと思う。 独特な台詞の使い回しもそこから来ているものだと 私はよんでいる。 そしてこの「仕事」 私もたまに手伝わされるハメになったりしている。 別に手伝いをするのは苦ではなかった。 私は絵を描く事が嫌いではなかったからだ。 勿体ぶらずに公言すると、 姉貴が言う「仕事」というのは 「同人誌」というものだ。 …まぁ、 手伝わされる時は大抵、 黒のツヤベタ(専門用語?)ばかりだったので よく文句は言っていたが。 「そうだ。 今度のイベント、君は売り子として手伝ってくれ。」 イベントというのは 同人誌即売会の事だ。 コミケなどの名称を聞いた事がある人はあるだろう。 「俺が!? 嫌だよなして俺が…」 「綺麗なコスプレイヤーに に売り子として堂々と声をかける事が出来るぞ。」 一瞬考えてしまった私がバカだった。 「お? その沈黙は乗ったって事だな。 時間は後日連絡するよ。 荷物も運ばなければならないしな。」 「勝手に話し進めな…」 「どうせこの日は暇だろ?」
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