0人が本棚に入れています
本棚に追加
…うん。
としか私は答えるしかなかった。
姉貴が指を差した先にある部屋のカレンダーに赤いマジックで記されたその日は
全く予定が入っていなかった。
と言うより、
日曜は親しい友達がバイトで遊べなく、
案の定学校も休みなので
帰宅途中で友達と何処かに遊びに行くという事もないのだ。
その後、
他愛もない世間話をして
そろそろ帰ると言い、
玄関先まで降りてきた時だった。
「おっと忘れてた。」
「何が?」
靴を履き、
姉貴の顔を覗くと
口元に手を当て、
眉間にシワを寄せていた。
「…いや、
今更だからいい。
君が来た時に聞くべきだった。」
「勿体ぶらないで話せよ。」
う~ん、わかった。
姉貴はそう答えると、
「買い置きのお菓子があるんだが…食べるか?」
「…今更遅いわ。」
ほら、
だから言ったじゃないか。
とニヤついた姉貴を背にして私は帰路についた。
やはり
慣れとは怖いものだ。
最初のコメントを投稿しよう!