第一章 彼女

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「もう一つについてなんだが……はっきり言おう。この場所は、世界は、君のいた世界じゃない」 「……超振動が発生して、別の場所に飛ばされた訳ではなくて?」 「あぁ。これが証拠だ」 俺はそう言ってジアビスのゲームの入れ物をティアに渡す。 するとティアはそこに自分の姿があることに気づいたのか、目を見開いて驚きを露わにした。 「これは……私?」 「あぁ、そうだ。君はこちらではそのゲームの世界の住人。その世界からこちらの世界に、なんらかの力が働いて来てしまった。という訳なんだ」 「……そう」 ティアは小さく頷くと、もう一度辺りを見渡す。 そして一度目を瞑り、肩を落として小さく溜め息をついた。 「成る程。ようするに、私は異世界、もしくは平行世界に来てしまった。という訳ね」 「あぁ、そういう事だ……大丈夫か?」 「問題ないわ。来てしまったのなら、帰る方法もあるはずだし。とりあえず、今は今後の事を考えないといけないわね」 「その言葉は、俺の話を全て鵜呑みにすると取っても構わないのか?」 「信じがたい話だけど、こうして証拠もあるわけだし。信じるわ」 「……そうか」 ティアの表情は驚きから一変。稟とした最初の時の冷静な表情に戻っていた。 これなら、きっと大丈夫だな。
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