6人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう一つについてなんだが……はっきり言おう。この場所は、世界は、君のいた世界じゃない」
「……超振動が発生して、別の場所に飛ばされた訳ではなくて?」
「あぁ。これが証拠だ」
俺はそう言ってジアビスのゲームの入れ物をティアに渡す。
するとティアはそこに自分の姿があることに気づいたのか、目を見開いて驚きを露わにした。
「これは……私?」
「あぁ、そうだ。君はこちらではそのゲームの世界の住人。その世界からこちらの世界に、なんらかの力が働いて来てしまった。という訳なんだ」
「……そう」
ティアは小さく頷くと、もう一度辺りを見渡す。
そして一度目を瞑り、肩を落として小さく溜め息をついた。
「成る程。ようするに、私は異世界、もしくは平行世界に来てしまった。という訳ね」
「あぁ、そういう事だ……大丈夫か?」
「問題ないわ。来てしまったのなら、帰る方法もあるはずだし。とりあえず、今は今後の事を考えないといけないわね」
「その言葉は、俺の話を全て鵜呑みにすると取っても構わないのか?」
「信じがたい話だけど、こうして証拠もあるわけだし。信じるわ」
「……そうか」
ティアの表情は驚きから一変。稟とした最初の時の冷静な表情に戻っていた。
これなら、きっと大丈夫だな。
最初のコメントを投稿しよう!